組織内でPC端末を使用していると、異動や入退職、処分等でHDD(ハードディスクドライブ)のデータを削除する場合があると思います。
個人的な利用であれば、ゴミ箱での消去やShift+Delete等で手動で削除してしまうのも一つの方法ですが、組織内の他ユーザーへ使いまわしたり、店舗等に売却する場合、これらの処理だけでは不足です。
というのも、これらの処理だけでは、実際にHDD上からデータは完全に消去しきれておらず、ツールを利用すればデータを復元できてしまう可能性があるからです。
データを復元されてしまった場合、そこから情報漏洩等が発生するリスクもあります。
逆に、ツールを利用してHDDから完全にデータを消去することもできますが、お金を掛けずに安全に消去したい!という方向けに、Windowsの標準ツールのみでHDDのデータを復元できないようにする方法を紹介したいと思います。
目次
作業環境:
Windows10 Pro 20H2, ThinkPad X395
Windowsの標準ツール「Diskpart」を起動し、対象ディスクを選択
- Win+Rを押下し、「ファイル名を指定して実行」テキストボックスにdiskpart.exeを入力しEnterを押下します。
「ユーザーアカウント制御」が表示された場合、「はい」を押すとdiskpartツールが起動します。※ユーザー権限の場合、管理者認証を求められます
- Diskpartが起動すると、プロンプト画面がポップアップします。
- 起動Diskの状態をlist diskコマンドを使って確認します。
DISKPART> list disk ディスク 状態 サイズ 空き ダイナ GPT ### ミック ------------ ------------- ------- ------- --- --- ディスク 0 オンライン 238 GB 0 B * ディスク 1 オンライン 115 GB 62 MB
- データの削除を行うディスクを選択します。選択にはselect diskコマンドを利用します。
以下の様にselect disk [番号] の形式で入力することで選択が可能です。DISKPART> select disk 1 ディスク 1 が選択されました。 DISKPART> list disk ディスク 状態 サイズ 空き ダイナ GPT ### ミック ------------ ------------- ------- ------- --- --- ディスク 0 オンライン 238 GB 0 B * * ディスク 1 オンライン 115 GB 62 MB
選択されたディスクは、一覧の左側に*マークが付きます。
データの削除コマンドを使用して初期化する
初期化後に、再度個人でディスクを使用する場合は、cleanコマンドでディスクを初期化するのがオススメです。
Windows上でディスクドライブとして表示させるまでの操作の流れとしては以下になります。
- ディスクが選択された状態(前項)から、clean と入力しEnterを押します。
DISKPART> clean DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。 DISKPART>
- 「DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。」の表示後、続けてcreate pertition primary と入力しEnterを押します。
DISKPART> create partition primary DiskPart は指定したパーティションの作成に成功しました。 DISKPART>
- format fs=ntfs と入力しEnterを押します。
DISKPART> format fs=ntfs quick 100% 完了しました DiskPart は、ボリュームのフォーマットを完了しました。 DISKPART>
- assign letter 任意のドライブ文字 の形式で入力しEnterを押します。(例:assign letter G)
DISKPART> assign letter g DiskPart はドライブ文字またはマウント ポイントを正常に割り当てました。 DISKPART>
- Windowsエクスプローラーを開くと、設定したドライブが表示されています
初期化後に、売却や他人への譲渡、廃棄等を行う場合は、clean allコマンドでの初期化を推奨します。
cleanコマンドの場合見た目上の削除(インデックスのみの消去)を行うのに対し、clean allコマンドではディスクの全セクタに対し、0を書込む(上書き)処理を行うため、元々あったファイルの痕跡を削除することができます。
- ディスクが選択された状態(前項)から、clean all と入力しEnterを押します。
ディスクの全セクタに対し処理を行うため、時間がかかります。また処理を行う端末及び対象ディスクのサイズによっても所要時間が変わってきます。筆者環境(端末側:SSD、対象Disk:1TB HDD 7200rpm)で試した結果、3時間ほどで完了しました。
DISKPART> clean all DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。 DISKPART>
- 処理が完了後は、必要に応じてパーティションの作成やフォーマットを行ってください。
廃棄処分などを行う場合
HDD以外にも、PCパーツ全般の処分方法としては以下の方法があります。
- 自治体の不燃ゴミに出す
ハードディスクは3.5inchのものでも30㎝未満の大きさですので、粗大ゴミにはならず、金属であるため燃えないゴミとして分類されるはずですので、不燃ゴミとして出すことができると思います。
ただ、自治体によっては「使用済小型家電回収ボックス」を設置している場合があり、こちらはハードディスクなどの小型家電を出したりすることができます。他にもデータ消去を自治体側で対応してくれる場合もありますので、事前に自治体に確認しておくことをお勧めします。
またHDDをドリル等で物理破壊した上でゴミ出しすれば、HDDを使いまわされたりする心配もないので、可能であればやっておいたほうがよいです。 - リサイクルショップやPCパーツ屋さんに引き取ってもらう
HDD等PCパーツの処分としては、こちらが一番おすすめの方法です。SSDが普及しつつある今でも、HDDは売値が付きますし、性能もそこまで落ちていない場合が多いため、必要とする方は多くいます。また店舗側でデータ消去を行ってくれる場合もありますので、各店舗に確認することをお勧めします。(筆者は本記事の手順を利用し自分で完全消去しておくことをお勧めします) - メルカリやジモティなどのアプリで出品する
メルカリやジモティなどのアプリで出品し売却する方法もあります。リサイクルショップ等に売却する場合はショップ側の提示価格に従う必要がありますが、こちらは自分で価格設定できますので更に高価格で売れる可能性があります。ただ出品や発送、問合せの対応など色々手間がかかる方法でもあります。
まとめ
ハードディスクやSSDなどのストレージ関連は処分時に必ずデータを完全に消去をしておくことをお勧めします。会社で利用しているものは勿論ですが、個人で利用しているものでも、個人情報などがディスクに残っているケースもあると思いますので、漏洩を防ぐためにも必ず行いましょう。
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